一瞬の出来事で物事のきっかけは生まれる
それは、幸運も不幸もチャンスも波乱も、全て同じ
Sudden disturbance.
いつも通りの練習だった
授業が終わって、ハリキッって部活に臨む
体育館に向かう途中雲行きが怪しいことに気づいたが、
バスケは屋内のスポーツなのでそれほど気に留めなかった
「よーし、休憩ーッ」
「「ハイッ!!」」
藤真の声がコートに響きわたる
それに負けないくらいの声で1、2年が返事を返した
大分動いたせいで、全身汗だくになっていた
その気持ち悪さと、運動後の快感を同時に覚えつつタオルに手を伸ばして汗を拭う
「あちーッ…」
ふと、声がして後ろを振り向く
藤真がTシャツの裾で顔の汗を拭いながらこちらに向かって歩いてきた
選手であり、監督役でもある藤真
監督でありながら自分の練習を決して怠ることはしない
「藤真、タオル使うか?」
「ん?あぁ、くれ」
すぐさま片腕を俺の方に伸ばしタオルを催促する
俺は苦笑をしながら椅子の上にある洗い立てのタオルを手にとった
「全員体育館入れーッ!!!」
バァンッと大きな音を立ててドアが開かれた
室内にいた全員が驚いて注目するが、それを全く気にもせずドタバタと人が駆け込んでくる
「あー…降られちゃったよー…」
「やっぱ降ったな…」
最初に飛び込んできた男子女子両方のバドミントン部の部長2人が大きなため息をついた
その2人に続き次々と数人の部員たちが駆け込んでくる
全員、Tシャツの肩の辺りが濡れていて、それを見て雨が降ってきてしまったのだと悟った
うちの学校のバドミントン部は、こう言ってはなんだがそれほど強い学校でもない
なので男女合わせても部員は十数人しかいなかった
すると一人の女子部員がドアの外に向かって叫んだ
「、早く早くッ!」
片腕を大きく振って誰かに早く入って来いと呼んでいた
「っはぁー…ッ濡れたぁー…」
「バッカ何やってんのよもー」
息を切らして走ってきた少女は壁に寄りかかって苦笑を浮かべる
頭から思い切り濡れているその様子を見て、友達であろう少女が呆れるように言った
「ぁんのバカッ…」
「!」
そう聞こえ、首を動かしたときにはもう藤真の姿は無かった
手元からするりと持っていたタオルを奪われる
一バスケット選手であろう者がいとも簡単に手元を掬われてしまった
藤真のその一瞬の行動で、あのずぶ濡れの子が“”という子なんだと理解した
「あの子か…
そして、駆け寄っていく藤真を見届けようと思い視線を再びドアの方に戻すが
すでに藤真は立ち止まっていた
「部長、シャトルのカゴ倉庫前の軒下に非難しときましたよ」
ずぶ濡れのさんが、女子の部長にそう告げた
女子部長はハッとすると、すぐさま駆け寄って「ごめん」「ありがとう」と言う
もう一人、男子の部長である部員もさんの下に駆け寄っていた
その部員は笑いながら彼女の頭にタオルを被せる
「拭きな。風邪ひくって」
「あ、…すみません…ありがとうござます」
彼女は一瞬躊躇ったものの、その好意はすんなりと受け入れらた
男子の部長はにこりと笑い、小さな少女の頭にポンッと手を置いた
藤真のタオルを持った腕がすっと下りたのに気づく
後姿で表情は見えないが
それが理解できない程俺は鈍くは無かった
立ち止まっていた藤真が振り返り、戻ってきた
そして行き場を無くしたタオルを椅子にかける
「花形、練習再開だ」
「あ、…あぁ」
そう告げられ俺は部員たちに向かって「休憩終わり」と叫んだ
藤真はボールを手にとって、ゆっくりとその場でドリブルをして立っていた
話しかけられるわけがない
とりあえずすぐに練習を開始しするべきだろう
その後の藤真は、信じられない程 絶不調 だった