想いは募るばかりで伝わらず、ただ時間だけが流れていく
I want to say that I love you.
天気がいい
青と白が上手く調和していて、眺めているだけで綺麗だった
「あー…ねみぃ」
屋上で寝転ぶ俺
周りには誰もいない、そりゃぁ授業中だからな
久々に授業をサボった
最近、3年になったってのもあって一応授業には出てた
けど、今日はそんな気分じゃない
「たまには息抜きも必要だよな」
自分の行動を正当化する哀れな高校生さ、俺は。
「勉強なんか、やってられるか」
眠りにつこうと思って、目を閉じるとふいに浮かぶのは一人の女の子
初めは些細な関係だったのに、いつしか自分はその少女を好きになっていた
にこにこしていて、明るくて、可愛らしい、一人の後輩
たった一人の、好きな子
「…最初はあんなに気まずそうだったのになぁ」
出会った当初は困った顔しか見せなかったのに、いつの間にか笑顔を見せるようになって
何となく、構ってやりたくて
アイツが笑うと何だか俺も楽しくて
毎日毎日飽きもせず、餌付けるようなことで関係を繋ぎとめて
ある日妙な溝が出来て、どうにかそれも解決して、そしてやっと気づいた
彼女に対する、己の恋心に
謝罪と一緒に受け取ったマフィン
家に持って帰って、食べるかそれともとっておこうか必死に頭を抱えて悩んだ自分が可笑しかった
「結局誰にとられる前に即行食ったけど」
甘いマフィンを食べれば、より一層忘れられなくなった
それからはもうとにかく会いたくて声が聞きたくて、いつも彼女の姿を探した
会うたびに、話すたびにどんどん好きになっていって
他の男と話すのを見て冷静にはいられなかった
「…はぁ〜…ー」
「ーっ」
空に向かって叫んでみる
届くわけないのに、叫んだ
「好きだぁー!!」
静かな午後に溶け込んで俺の大告白はあっけなく終了
何だか虚しくなって今度は盛大なため息が出た
「チャイム、もう鳴んのか?」
この時間が終われば今日の授業はもう無い。残すは部活のみだ
時間を確認しようと制服のポケットに手を突っ込むと、ふと何か小さいものが入っていることに気づいた
「ん…何か入ってんな…」
ゴソゴソと手を動かし、取り出したのは小さな飴
自分には不釣合いな可愛らしい包装紙に包まれたミルキーだった
「あぁ…」
思い出す、さほど古い記憶ではないのにやけに懐かしく感じた
思えばこれをあげるがために彼女の元に通い始めたあのときすでに、好きになっていたのかもしれない
いやもっと前…初めて会ったときから気になっていたんだ
あの笑顔が、全てが、可愛いと頭のどこかで思ったんだ
考えれば考えるほど、自分は彼女が好きなんだと思い知る
正直恥ずかしいのが、そのムズかゆさはどこか心地よいもので決して悪くない
「…言う、か」
ぽつりとつぶやきながら、ミルキーの包みを開き甘いそれをひょいっと口に放り込む
世間一般では、“ママの味”だけど
「俺にとっては、アイツだな」
酷く落ち着かない、なのに幸せにしてくれるこの甘さ
女子みたいなことを考えながら、残された包装紙のペコちゃんの数を数えてみる
10個あると、何かいいことがあると聞くが今まで10個あった験しが俺にはなかった
「1,2,3,4…7,8,…9,…10個じゃん」
おぉ…!と少し感動する
そしてすぐに心の中でラッキー、と思った
いいことあるのかもしれないと少々期待をし、それがなぜか自信へを自動変換された
「ペコちゃんも10個あるし…言うか」
この想いを、いつまでも胸のうちに秘めておけるようなタチじゃない
今すぐにでも抱きしめてアイツは俺のものだと叫びたい衝動に駆られる
「今日の俺はラッキー、思い立ったが吉日、善は急げ!告れ俺!!」
とうとう決心がついた。
もう遠慮なんてしない、その間に敵が増えるなんてまっぴらだ。
立ち上がり、幸運の包み紙を握り締め、俺は屋上を後にした