…まただ。これで8回目だぜ。何なんだよ…?
気になるアイツと視線がぶつかる。普段からよくあることだが、さすがに今日は多くないか?
もし理由もなしならもうやめてくれ…変な期待を持つ自分が空しいだけだ。
…ほら、9回目…くそっ!


「く、黒崎くん…」

たったこれだけのこと、それも自分方呼びかけてコッチを向かれたくらいでで俺の心臓はこんなにも速くなる。

「なんか、俺に用でもあんのか?」
「えぇ!?な、なんで…?」
「今日、やたらお前と目が合うから…」

今更話しかけたことを後悔した。用なんてなかったら、俺ただの自意識過剰野郎じゃーねか…

「あぁ〜…や、ごめん…実は…」

恥ずかしそうに俯きながらケータイを取り出しその液晶を俺に見せてくる。

「…占い?」
「そう…かなり当たるとか言われて、普段はあんまり気にしないんだけど…」

段々との耳や頬が紅くなっていく。

「でも今日、恋愛運が最高で“素敵な恋の予感”て…それで、ラッキーカラーが黒…ラッキーアイテムが……
い、苺ってなってたら…なんか意識しちゃって…」

尻すぼみになっていく言葉、あんなにも何度も合わさった視線が今度は意図的に逸らされて。
恥ずかしそうに眉を下げ真っ赤な顔で言われたら、コッチの変な期待も微かな確信へと変わっていった。

01.視線







日暮れの早い冬の帰り道。
明良の隣を歩く俺は、その雪みたいな手に瞳を奪われていて、彼女の声すら頭に入ってこない。
白くて、細くて、指先だけほんのり紅く色付いた綺麗なそれは幻想的な何か不思議なものにしか見えず、甘い砂糖菓子を連想させた。やっぱ、甘ぇのか?

「っ…一護!?なっ、何して…!」
「あぁ、悪い」

思った通り、微かに甘かった。何となく満足しつつも次に目に入ったのは別の菓子。
なぁ、その薄紅色の頬も甘いのか?

02.手







「ね、一護はどっちが好き?」
「…どっちでも、お前の好きな方にしろよ」
「何よ、もぅ」

そりゃコッチの台詞だ。一体何時間かけて選ぶつもりなんだよ。2人で店に入って一時間強。
辺りは女しかいねぇし、店員は口元を隠して小さく笑ってる。
マニキュアをどの色のやつを買うか、それだけでこんなに悩めるなんて…女ってわかんねー。
大体、なんでオレンジか赤で悩んでるんだよ。お前の爪は、その隣の隣にある淡いピンクとかのが似合うんじゃねーの?
そう思って「これとか」とその色の小さなボトルを差し出すと明良は「ん―…」と眉をひそめる。

「赤とかオレンジって、お前にはちょっと色キツいだろ」
「そう、だけど…オレンジは一護の髪の色だし、赤は苺色だから…一護のシンボルカラーなんだもん」
「……」

そんな可愛いこと言われたら例え他の客にジロジロ見られても、待つしかないだろ。
あと30分だけ。それで決まんなかったら、どっちも買っちまえ。

03.爪

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