この日、俺は仙道に対して
かつて無いほどの怒りを覚え、そして、感謝した






The moment when light love grows






やっとありつけた昼食もあっという間に食い終わって
食後のひと時を仙道を過ごす(何で仙道…)

腹いっぱいになったら、少しは大人しくなるだろう
なんて思っていたオレが甘かった

「越野はオレとかほかの人にはぶっきらぼうなのににだけは優しいんだよねー」

好きな子だもんねー、だとか

と話してるときとか嬉しそうな顔しちゃってさー」

俺からしてみれば好きなのバレバレだよー、だとか…
様子は大人しくなったものの、口数は減らない

「ウルセーよ」

イライラして、軽くそのつんつん頭を叩くと
一瞬不満そうな顔をして、でもすぐにへらっと笑って

「越野って照れ屋さんだよな」

とか言いやがる…


もう一発、今度は拳でお見舞いしてやった


気がつけば昼休みも終わってて、皆席に戻り始めていた
なかなか動こうとしない仙道に喝を入れ、無理やり自分の席に戻らせる

ふと、の席に目がいった
もうすぐ本鈴が鳴るのに、彼女はまだ戻っていない

サボり?珍しいな…

するとドアの開く音がし、前から先生が入ってきた
そして

「ぎ、ギリギリ…」

も丁度先生と同じタイミングで後ろのドアから教室に入ってきた
そして待ってましたと言わんばかりに本鈴が鳴った

は、どうやら急いで戻ってきたらしく机の上で一息ついていた
そんな彼女が面白くて、オレは声をかける

「危なかったな、

苦笑交じりに話しかけると、彼女は一瞬肩で反応をした
そして目を泳がせて「う、ん…」と微妙な返答をする

アレ

何か、おかしいよな

………

いつもだともっとノリよく返してくれる彼女に、今日は何故か異様に違和感を感じた


何かあったのか…?


午後の授業になると必ずと言っていいほど「眠いよねぇ」とか小声で話しかけてくる彼女だが
今日はそれが一度も無い
時折黒板を見て、あとはずーっとノートをとるために机に向かっている
一度も、オレの方を見ない

昼休みまでは普通だった、よな?

はマジメに授業を受けている、ほとんどの生徒がそうで数人が居眠りにふけっている

オレは、彼女のことで頭がいっぱいになり 授業どころじゃなかった


結局5限はただひたすらのことを考えていて
何一つ勉強になるようなことは、しなかった

休み時間になってもなお、彼女との会話は一切無し
オレは気が長い方じゃねぇから、思い切って声をかける

「なぁ、」

先程のようにビクッと肩で反応をする
オレは出来る限り不機嫌じゃない声を出そうと必死だった


「ん…?」

やっぱり、こっちを向かない

それ結構ダメージでかいんだけど…

「何か、あった?」
「え…」

がやっとオレの方を向いた
…目はすごく泳いでるけど

「えー…と…」

うようよと四方八方に彼女の目が動く
そしてやっと目が合ったときには、何故か彼女はほんのり赤くなっていた


「越野、さ…アレ…本気?」
「……は?」


何が?


「え、…アレって何だよ」

意味がわからない俺は、思いっきり顔をしかめてしまった
するとは、少し躊躇いがちに何かをカバンから出す
そしておずおずとオレにそれを差し出した

それは、オレが昼休みのために買った  コロッケパン
そのコロッケパンの袋に、何やら黒いペンで汚い文字が書かれている



が好きだ!!BY宏明”


「昼休み、仙道君がくれたんだけど…」

そう言ったの耳は、真っ赤だった


「〜〜〜〜〜ッ仙道ォ――――!!!」


叫ばずにはいられなかった

「何してんだよテメーはッ!」

イスが倒れそうなほど勢いよく立ち上がって、オレは実行犯の方を見た
ヤツはすでにその席から離れ、教室を出ようとしていた

「越野のために、人肌脱いだんだって」

いつものようにへらっと笑い
つんつん頭の大馬鹿野郎は一目散に教室を出て行った

すぐに追いかけようと思ったけど、途端に6限の本鈴が鳴り
次の先生が教室に入ってきてしまったので、オレは仕方なく座った

くそっ……
なんて野郎だッ!

授業が始まっても、オレの怒りはおさまらなかった
しかしそれ以上に恥ずかしくて顔から火が出そうだ(カッコ悪ぃ …!)

先程以上にに神経が集中する
だからって話しかけるほどの勇気は今のオレには無い

怒りを通り越して、だんだん泣きたくなってきた…

は、一体どう思ったんだろう

呆れただろうか、…いや、その前に仙道の悪戯だと思ってるだろうな…


終わったよ、オレの恋は


諦めて、このまま寝てしまおう
そう思ったときだった


コトン…


何かが飛んできて、オレの机の上に落ちる

「…?」

お菓子の、チョコレートの箱だった
飛んできたのはどう考えてもの方向

横目でそっちを見ると、は頬杖を付いて俯いている
髪の隙間から見える耳は、赤い

オレはドキドキしながら、箱を手に取った
中身は入っていないらしく軽い

そして箱を裏返すと、そこには黒いペンで可愛らしい字が



“宏明が好き!!BY



「ッ!?」

ボッと顔が熱くなった
心臓が、飛び出るんじゃないかって程バクバク鳴っている

オレは嬉しくて、箱を握り締めて彼女の方を向く

ッ」

呼ばれた彼女はゆっくりとオレの方を向く
その顔は真っ赤だけど、きっとオレも負けないくらい赤いんだろうな


仕方ない、
今回だけはあのアホ仙道に感謝してやるよ


「オレと付き合ってくれ!」


授業中だということを忘れ、勢いよく立ち上がったオレは彼女にそう言った


一瞬目を見開いて、そして笑顔で頷いた彼女


嬉しくて嬉しくて、
先生の声も聞こえなくて、教室全員の視線を浴びた中

オレは隣に座ている彼女を思い切り抱きしめた


「オレ越野宏明は、 が大好きだ!!」と叫んだ俺には、周りの野次も聞こえず
ただただ真っ赤になって焦ってる彼女を見て歓ぶばかりだった。



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