果てしなく続く青
それは大昔から変わらぬ海
それは生命の源である海
それは人々の夢と希望の海
The heartwarming blue ocean
荒れた海流も無く、ぽかぽかとした心地よい天気
波も天候も穏やかな昼下がり
壮大な海の上に、一隻の海賊船があった
船首は羊の形、ミカンの木々を乗せた
麦わら帽子が目印の海賊旗
“麦わら海賊団”
「んー…やっぱり天候がイイと、ミカンの質も良いわねー」
つやのあるミカンを手に握り、嬉しそうにそれに唇を当てる少女
日差し除けの麦藁帽子を被ったオレンジ色の髪の彼女はこの船の若き航海士
彼女の宝のひとつがこのミカン木々
今は実った果実を収穫しているようだ
「ナミー」
「んー?なぁに」
船首の方から大きな声が彼女の名前を呼ぶ
ナミは同じく大きめの声で返事をし声のする方を向く
視界に入ったのはTシャツにジーンズ姿の青年
ナミを見上げてにっこりと微笑む
「サンジがおやつ出来たって、降りて来いよ」
その言葉に彼女も笑った
おやつか、そういえば日が傾いてきたし…と眩しそうに太陽を見る
「今行くわ」
船の船尾に寝転がる緑髪の一人の男
その周りにはやたら大きなダンベルやら単位が“ t ”という重りが無造作に置かれている
豪快ないびきを掻いての昼寝をしていた
「あーあ…こりゃ起きないな」
「つかホント体力馬鹿だねぇー」
長い鼻が特徴的な青年と焦げ茶色の髪を軽く束ねた少女が屈んでそれを覗き込む
そしてかたやため息を、かたや苦笑を浮かべ
船首の方へと戻っていった
「お、何だゾロ起こしに行ったんじゃなかったのか?」
船尾から戻ってきたウソップとに首を傾げては尋ねる
2人は肩を竦めて首を横に振った
「爆睡でしたー」
「トレーニングして、そのまま寝ちまったみてーだ」
「またかよ」
その言葉を聞いて、ただただ苦笑するばかりだった
大きめのテーブルといくつかの椅子が並べられ、次々とクルーが席についていく
ウソップはチョッパーの隣に腰掛け、その隣にも座る
反対側にはロビンの隣にナミとが何やら楽しそうに話をしながら腰を下ろした
「おい!てめッ!!いい加減にしろッ!!」
ゴンッ!という鈍い音がキッチンから響き、一斉に半開きのドアの向こうへと視線を向ける
料理人の怒声が聞こえてきて、呆れたり苦笑したり
「ってェ〜」
「ったく、目ェ離すとこれだ」
ドアの向こうから現れたのは
麦わら帽子を被りその上にできた真新しいタンコブを抑えている少年と
怒った顔つきとはあまり合わないがエプロンを身に付け、両手で料理を運ぶコック
は2人を見て笑った
「またつまみ食いしたのー?ルフィ」
「いや、失敗に終わった」
不満そうに唇を尖らせながら席につく船長に料理人のサンジはまだイライラしていた
「成功させてたまるかってんだ」
しかし次の瞬間、ナミとロビンに料理を出すときは
んナミすわぁ〜んッロビンちゅわ〜ん、出来立てのスペシャルパフェですッ!と急に顔が崩れ笑顔になった
いつものことだと2人は気にせずにありがとう、と言った
「はい、ちゃんも」
「わーいありがとー!」
今度はまるで兄のような素振りで少女にデザートを差し出す
そして男性陣には「おら、てめーらも食え」と無表情で皿を出した
毎度のことながら、やはり彼はレディー専用である
「美味そー!」
「スゲー!!」
「いっただきまっす!」
目の前に置かれたパフェに目を輝かすウソップとチョッパー
も混ぜて3人は同時に両手を合わせ、そしてがっついた
皆が一口、二口と食べているところルフィーは既に食べ終えていて、
足らねぇー足らねぇーと訴えながら机に伏せていたが、サンジはそれを無視した
「んー!美味しい!さすがねサンジくん」
「喜んでいただけて光栄です」
ナミが手を頬に当てて言うと、サンジは右手を胸の前におき、軽く腰を屈めて一礼をする
そして全員にドリンクを出し終わったところで、席についた
盗み食いの船長には恐い顔をしていた彼も、
皆が美味しい、美味いと言って自分の作ったものを食べてくれることに幸せ感じていた
「あー…甘ったるい匂いはこれか」
「あ、ゾロ」
丁度の背後あたりにひょっこと現れたのは先ほどの昼寝男
もともと悪い目つきが寝起きということも重なってさらに悪くなっている
「てめぇ、遅ぇーんだよ」
「ああ?」
「来るんならすぐに来いってんだ」
同じ年頃の男同士ならもっと仲がよくてもいいものだが、ご覧のとおりこの2人の仲あは良くない
しかし喧嘩腰であっても結局は仲間意識を持っていることを知っているクルーたちはとくに気にもしない
ぶつぶつと文句を言いながらキッチンに入っていくサンジを見て、はこっそり笑う
何だかんだ言いながらも、ゾロの分用意するんだよなぁ…と
ゾロの分のパフェを運び、さらにサンジは女性陣にお茶のおかわりを用意する
コックでありウェイターのような彼
けれど一番ぴったりな表現はきっと“お母さん”であろう
そして、きっと
クルーたちは“家族”
それくらい温かい関係の彼等
「美味しいねーゾロ」
「…甘い」
「お前、それを言うなら美味いだろ…、っておいルフィ!!俺のパフェ食ってんじゃねェェ!!」
「うるせーよ、静かに食え」
「サンジ、晩飯は肉な!」
「あら、今晩はお魚って聞いたけど?ねぇコックさん」
「その通りです、レディー」
「チョッパー、鼻にクリームついてるぞ」
「むぐ!?」
「さて、お腹もいっぱいになったし…また収穫でもしますか」
今日もゴーイングメリー号は平和です
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