初めはこの人の腕を、少しだけ疑ってた






PM3:00 Sanji's sweets







例えば、ルフィに尋ねてみる

「幸せだと感じるときはいつ?」

我が船長は即答で答えてくれた

「美味いモン食ってるとき」と…



例えば、に聞いてみる

「今まで一番美味しいと思ったものは?」

彼は一瞬きょとんとして、当たり前なことを聞くな、と

「そんなのサンジが作った料理に決まってんだろー」



きっとクルー全員がそう思ってるよね



キッチンはとくに広くも無いし綺麗でもない
まぁ海賊船内だから、綺麗でもオカシイか

それでもうちのクルー全員が一緒に食事できるほどの広さはある
天気がいいときは外にテーブルを出して食べるけど、大抵はココで食事

ここは、我が船の料理人のテリトリー
余計な真似をすれば、華麗な足蹴りを食らう羽目になる(男限定)
下手をすれば食事抜き、なんて、耐えられるわけがない

ちゃん、」

「ん?」

洗い物をしていたコックさんが不意に振り向いた
私はテーブルにつけていた頭を起こす

「今日のおやつ、何がいい?」

「おやつ?」

「昨日はフルーツパフェだったろ?今日は何にしようかなって思って」

何かご注文はありますかお嬢さん、と言う彼はコックでありウェイターであり
みんなのお母さんでもあり、…忙しい人だ

「おやつかぁ…」

そう呟くと、サンジくんはふっと苦笑を浮かべて再び洗い物を始める
さっきまでの美味しい匂いは少しずつ消え、今は石鹸の香り


あ…

今、このキッチンの空気を例えるなら


「…生クリーム、とか?」

「お、クリーム系かい?」

「んー…なんか、ふわっとしてて柔らかい感じの」

そんな雰囲気なんじゃないかな?


「OKレディー、3時までしばしお待ちを」

そう言って、最後の数枚のお皿を濯いで水を切る
お皿拭くの手伝おうか、と言うと
「立てておけば水は切れるから大丈夫、ありがとう」と言われた

鼻歌交じりに冷蔵庫から材料を取り出し、おやつを作り始める
ずっと見てようかな、と思ったけれど

3時までのお楽しみにとっておこうかな


ガタ、と音を立てて立ち上がる
そのままドアへと向かった

「サンジくん、」

「ん?」

ドアノブに手をかけたまま、私は彼を見る
コックさんは優しい表情だ


「おやつ、楽しみにしてるねー」

邪魔しないように外で待ってる、という意味を含めて私は言う

「ああ、出来たら…そうだな、今日は天気がいいし、」

外で午後のティータイムにしようか

その言葉に、私は笑顔で返した




キッチンを出る直前

「…あぁ、やっぱりここは生クリームだね」





ふわっと皆を包み込む

まるでコックさんの愛情のように



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