あんまり気にしたことねーけど、確かに静かで良い夜だったな






Night liquor






今夜は見張りだ
クルーが皆寝付くころ、俺は見張り台に登る


波も風も比較的穏やかだ
音も無く、直感的に今夜も大丈夫だ、と思った



多分12時を回った頃

ふと音がして、俺は神経を尖らして下を見た
だがすぐにその緊張は解ける

「よ、」

マヌケ面で片手を挙げ、甲板から見上げている男がいる







「何やってんだてめー」

「あー?まぁちょっと待て」

話は登ってからだ、と言ってあっという間にこの男は見張り台まで登ってきた
片手に抱えていた毛布を両手に抱え直し、ニヤリと笑う

よくわかんねー奴だ



「こんな良い夜にただの見張りじゃ、つまんねーだろ?剣士さんよぉ」


そう言って毛布を広げ、そこに包まれていたものをとりだす
思わず俺も口の端を吊り上げた

「…気が利くじゃねーか」


コイツの手に持たれた、2本の酒瓶



「ッぁー!美味ぇ!」

それからはもう酒盛り以外することはねぇ
狭い見張り台で、俺たちは酒を味わった

「やっぱ夜の酒は美味ぇ、な!ゾロ」

「あぁ」

ジョッキを用意するわけもなく、俺もも瓶を握り締めて飲みまくる
こういうとき、まぁ酒を飲むときはコイツと話が合う

ルフィやウソップやチョッパーみてーにドンチャン騒ぎもしねぇ、
どこぞのコックみてーに口五月蝿いことも言わねぇ、
ただ美味いといって豪快に酒を飲む



「あー…いい夜だなー」


酔ってきたのか、若干呂律が怪しいがまだまだコイツは飲む

「お前、寝ないのか?」

思ったことをそのまま言うと、コイツは眉をひそめた

「んだそれ、俺に寝ろって言うのかコノヤロー誰が酒持ってきてやったと思ってんだ」

あぁ?とガンを飛ばしてくるのは、酔ってるせいもあるからだろ
普段はこんな感じじゃねーからな

「何で起きてたんだって意味だ」

「あ?……何でだっけなぁ」






おい。



つーか、お前この酒…どっから持ってんだ
サンジの野郎にどやされんぞ

まぁ飲んじまえばコッチのもんだとか思う俺も、少し酔ってるのかもな




「まぁ、なんつーか…こう静かで良い夜に、寝ちまうのは勿体無ぇ気がしてさ」

だから見張りのお前と飲もうと思ってちょーっとキッチンからドリンクを拝借〜、とか言いながら
瓶を高々とあげる


「波も風も静か、星も月も綺麗、敵襲は来ないと勘が言う、なら最高の夜だと思ってな」


目を伏せて笑いながら、怪しい呂律で喋る

「んで、そういやキッチンに酒があったなーって思い出して、皆が寝静まった頃を見計らって出てきたってわけだ」

ふざけてんだか酔ってオカシイんだか、わからねぇが
奇妙な笑いを浮かべ、「明日サンジ怒るかなぁ」とか言ってやがる


ノンキっつーか、陽気っつーか、変なヤツだ



変なヤツだけど、悪くもねぇ

多分コイツはこれで丁度良いんじゃねーか?



久々に夜通し飲んだ酒は、確かに美味かった




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