首の後ろが、じりじりと焼けるような感覚
滑るように静かに幾度も幾度も汗が流れていく

「うへぇ…アツイぃ…」






Hot sunny way






地面からも焦げそうなくらい熱が登ってきて、立ち止まってしゃがみこみたいような
そうでもないような


港に着いて、留守番組のゾロとチョッパーを残し、全員町に向かった
食材調達担当のサンジくんと本日のお手伝いなフランキー兄ちゃんペア以外、
皆それぞれ思い思いの行き先へと散ってしまった

ナミちゃんから貰ったお小遣いを持って私もふらふらと町をさまよう
いろんな店の前を通り、日陰でバテている猫を見て、目的もなく歩いていく

「何か買おうかと思ったけど、何にしよう」

これといって買わなければいいけないようなものが思いつかず、
一軒、また一軒と覗いては次の店へと流れていく

それにしても、あつい
ああ、汗が止まらない

首の辺りに髪が張り付いて不快だ
手で汗を拭っても、止まらない

うんざりしながら次のお店を覗くと、布やら雑貨やら色んなものが売られていた
端の棚に積まれていたタオルが気になって近づく

「いらっしゃい」

「あ、こんにちは」

ふっくらしたおばさんが、店の奥から声をかけてくれた

「暑いから汗かくだろう?そこの棚のタオルは丈夫でお勧めだよ」

「おお、色も綺麗ーこのお花のやつ可愛いな」

畳まれた明るい色のタオルの中で、すぐに目についた一枚
手にとってみると、ふわふわしてて、触り心地がすごく良い

よし、

「これ、ください!」

「まいど」


ほとんど即決で購入したそれを、小さな袋に入れてもらう
すぐに使ってしまおうかとも思ったが、少しもったいない気がした
まぁ、どうせ明日には使いたくなっちゃうだろうけれど

気分良く歩いていると、道の先に見知った長っ鼻を発見
どうやらウソップも買物をしたみたいだ

「おーい、ウソップー」

「あ?」

振り向いた姿に向かって私は駈け出した
ウソップが「おお、」と笑いかけてくれた瞬間、

「ぅ、ぎゃっ!」

躓いた私は、とっさにさっき買った袋を両手で抱え込んでしまい
そのまま勢いよく地面へと倒れ込んだ

!お、おい!大丈夫か!?」

ウソップの驚いた声が聞こえる
痛い、これは、かなりキタ
膝、やばそうだ

「大丈夫か!?立てるかっ」

「転んだぁあ」

何とか身体を起こし、じんじんと痛み出した脚を見ると、片膝だけ大きく擦りむけている
真っ赤になったそこから、徐々に血が滲み出す

「おいおい、随分派手にやっちまったなぁ」

「イタイ……」

そう言いながらも立ち上がろうとすると、ウソップが腕を持って立たせてくれた
泣くほどではないが、それでも地味に痛みが広がっていく

「あーあー血がどんどん出てくんな。ちょっと待ってろ」

そう言ってウソップは小走りに先ほど出てきた店にまた入っていった
しばらくその場に立って転んだ膝を見下ろしていると、すぐに戻ってきた
手には濡らしたてぬぐいみたいなものを持っている

「イテェかもしんねーけど、これで砂落とせよ」

「ん…」

受けとって、恐る恐る膝に当ててみると、血は出ているが大きな怪我ではないようだ
砂を拭うと、真っ赤な傷口だけが残る
小さな砂利が入らなくて本当に良かった

「ウソップ、これ、汚れちゃう。さっき自分のタオル買ったからそっち使うよ」

慌てて抱えていた袋からさっきのタオルを取り出すと、
「そんな綺麗なのもったいねーだろーしまっとけって!」と袋の戻されてしまう

「とりあえずそのままにして、チョッパーに見てもらおうぜ。船までおぶってやっから」

そう言うと斜めがけにしていた鞄を私に持つように手渡し、背を向けて地面にしゃがみこんだ
さすがに申し訳ない気がして、いいよ歩けるもん大丈夫、と口にはしてみるが
面倒見のいいウソップには敵わない

結局、おぶってもらうことになった

「重くないー?」

「軽くはないけどなーちっこいから思ってたより平気だぜ」

「辛かったらすぐおろしてね、ウソップのことおぶっててあげるから」

「いやそれはおかしいだろ!」

時折よっこいせ、という声で背負い直す以外歩調もしっかりしている
ただ、汗はすごくかいてるようだ
ただ背負ってもらってるだけでこれだけ暑いんだもの、当然だ

嬉しかったけど、申し訳なくて、さっき買ったタオルを出して貸そうかなと考えたけれど
たぶん、大人しくしているのが一番迷惑にならないような気がしたので諦める

「しっかし、あちぃなー」

「あっついねー」


「チョッパーの毛皮、暑そうだよな」

「うん、ちょっと可哀そう」


「サンジくんに冷たくて美味しいドリンクかデザート作ってもらお」

「お、それいいな!」

ザク、ザク、ザク、ザク、
店が立ち並んでいたところからは随分と離れ、船が見えてきた

「もうみんな戻ってるかな」

「かもなーゾロも今日は留守番だし、すぐに出発出来ると思うぜ」

ゾロには悪いけど、笑いながら船に向かう
ふと下を見ると、少し影が伸びてきたような気がした

「ウソップー…ありがとね」

「…おうよ」

船に着いたら、チョッパーに手当てしてもらおう
驚かれるか、怒られるか、心配されるか

多分きっと全部だろうなと思って、私は一人苦笑した

「なぁさっきのタオル」

「うん?」

「綺麗な柄だったなぁ」

「うん、一目ぼれして買ったんだ」

「そりゃいいな、大事に使えよ」

「ん!」

そうだ、チョッパーにも見せよう
「おお!いいなそれー!」と言ってもらえたらいいなぁ