クリスマス休暇を終えてホグワーツに戻ってきたジェームズ、リーマス、リリーの3人は
シリウスとの間に起こった小さな変化に驚きを隠せなかった
けれど驚き以上に喜んだのは言うまでもないこと
Unfinished Heart
充実した毎日を送っていれば、時間はあっという間に過ぎていく
気が付けば学期末試験が訪れ、そして季節は変わり春を過ぎようとしていた
「薬草学はちょっと失敗だったなぁ…」
自室ではため息混じりに呟いた
リリーは呆れたように肩を竦め、声をかける
「十分頑張ったじゃない。別に悪い点数でもなかったわ」
「そうかなぁ」
「そうよ。それに、呪文学と魔法史はとても素晴らしい成績だったじゃない」
「んー…」
納得がいったような、いかないような曖昧な反応に
リリーは首を横に振り、手に杖を握り一振りする
途端にベッドの上に無造作に置かれていた衣類などが宙に浮き、綺麗に畳まれて荷物ケースに収められる
「よし、これで荷造りはOKね」
腰に手を当て、満足したようにリリーは頷く
そしてふと、部屋の中を見回した
「もう1年経つなんて、早いわね」
「あっという間だったね」
キングス・クロス駅で出逢ったジェームズと同じ寮になり、
同室のリリーとは親友に、
またジェームズのルームメイトのリーマス、ピーター、シリウスとも行動を共にした
ただ一人なかなか打ち解けられなかったシリウスとも今では良い仲間になり、
彼ら4人の悪戯を見届け、時にリリーのお説教を聞き、初めて魔法というものを学んだ
1年でこんなにも充実した時間を得ることが出来たとは嬉しく思った
そして、来年はもっと楽しくなるのかな、と考えると益々幸せな気持ちになった
「よし、荷造り完了!」
「忘れ物は無いかしら?」
「確認したし、無いと思うよ。それに夏休み明けにはまた帰ってくるんだもの」
「…それもそうね」
2人はくすくすと笑い、最後に一度身の回りを整理する
そして部屋を出るときには「またね」と言い残し、その場を後にした
階段を下りて談話室に入ると
既にジェームズたちが各自荷物を持って待っていた
「お待たせ」
「君たち、忘れ物は無いかい?」
ジェームズがにっこり笑いながら尋ねてくる
多分無いわ、とリリーが答えた途端ピーターがあ、と声をあげた
隣に居たシリウスが怪訝そうな顔をしてどうしたんだよ、と尋ねると
「…杖、部屋に置いてきちゃった…」
と言って、慌てて部屋に戻ろうとした
そして彼の後ろ姿を見たジェームズは大きな声で言った
「ああ、ピーター!大丈夫だよ、君は“部屋に”忘れてないさ」
ジェームズがくすくすと笑う
わけがわからないピーターは困惑したような表情になった
リーマスとシリウスはすぐにその意味に気がつき、苦笑を浮かべたり呆れたり
「ほら、君は“君の後ろに”忘れ物をしてるよ」
「!」
ジェームズが指差す先、それはピーターのズボンの後ろポケット
彼は“部屋に杖を”忘れたのではなく、“ポケットに杖を入れたこと”を忘れていたのだ
にもリリーにも笑われてしまったピーターは顔を真っ赤にして、小さく縮み上がってしまった
「では、我がホグワーツともしばしのお別れだ」
名残惜しくも、全員荷物を持って寮の外へと出る
汽車に乗り込んだとき、リリーがににっこりと微笑みかけた
「休み中に手紙書くわ。返事、ちょうだいね?」
「勿論!私も皆に書くね」
「ふふ、楽しみだわ」
約束よ、とリリーがウィンクをし、も微笑んで大きく頷いた
こうしてホグワーツの1年目は幕を閉じる
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