「こんな風に会うなんて、結婚式以来かしら?」
「違うわよ。ちゃんの1歳になった時以来よ、確か」
「あ、そうだったわね」
一体何なのだろう
そう思いながらも目の前のケーキが気になってしまう
そういえば、帰りの汽車の中でお菓子を買ったけど、
ジェームズたちが大騒ぎしててリリーとおしゃべりしててほとんど食べていなかったな…
「ほら、。貴女いう事があるでしょう?」
「え、…何を?」
「ちゃん、どうだった?魔女1年目は」
「はぁ…」
Unfinished Heart
キングズ・クロス駅から車で5分程の距離にある綺麗な喫茶店
その店のテラスに腰掛ける、とその他3人
彼女の隣には、母親
向かい側には、先ほど出逢った年上の少年
そしてその隣には、彼の母親
目の前には食べかけのケーキ
自分が注文した筈なのに、何故か母親も一緒につまんでいるのでもう残り少ない
最後の一口になるケーキをフォークにさし、そのまま口に放り込んだ
そして、横目で母親を見る
娘の視線に気づいた母は、すぐさま言い放つ
「さ、食べ終わったら席を外して頂戴」
何て酷い親なんだろう
人生で最も強く、そう思った瞬間だった
「お前のママさんとうちの母さん、学生ん時の旧友なんだよ」
相手の息子さんであるレン・ウェンダーは大きな欠伸をしながらそう言った
“ここからはお母さん達の話だから、貴女達は外でも見てきなさい。”
母親たちは、申し訳なさそうな表情ひとつ見せず、そう言い放った
というわけで、とレンは仕方なく腰を上げ、散歩をすることにした
「知らなかったなぁ」
そんな話は今までに聞いた覚えが無い
まぁ所詮“魔法族であると伝えること”すら忘れていた母だ
どこか抜けているのはもわかっていた
全く、どこまで能天気なんだろうな…
そんなことを思っていると、彼女より少し前を歩いていたレンが立ち止まる
そしてくるっとの方を向いて、真顔で言った
「お前とママさんて、何か似てるとこあるよな」
「えぇ?!」
まさに今その母親のことを考えてたは思い切りショックを受けたという表情を見せた
レンは眉をひそめ、お前の親だろ…そんなに嫌なのかと内心思ったが口にはしない
「なんか、見た目もだけど…似てると思うぜ?」
「そんな…私、あんな能天気じゃないと…思うんですけど…」
さすがにあそこまで酷くは無いです…と下を向いて呟く彼女に、レンも確かにと思った
「まぁ、親子だからな。俺も父さんと似てるとこあるし…」
その言葉を聴いて、はぱっと顔をあげる
彼のお父さんは魔法使いなのか、それともマグルなのか…
ただ純粋に、そう思ったのだ
「あの、レン…先輩…?先輩のお父さんは魔法「待て。」使… え?」
「何だよその“先輩”てのは」
眉をひそめて、あからさまに嫌そうな顔でレンは彼女を見た
「だって…年上だし、本当に先輩ですし…」
「……はぁー…」
は不安げな顔でため息をついたレンを見る
同じようにレンも、彼は呆れた表情で目の前の少女を見た
「あのな、まぁお前は初対面な感じかもしれないが、俺はお前が赤ん坊の時から知ってるわけだ。
それを今更“先輩”って言われても…調子狂う」
恐らく本音そのものだろう
はそれもそうだ、と思う
しかし、ならどうしたら最適なのかが解らない
「じゃあ、どうしたらいいんですか…?」
「そうだな…」
レンは腕を組んで考える
そして何か思いついたらしく、再びの方を見た
「敬語やめろ。あと呼び捨てでいいから敬称つけんな」
スパッと言い切ると彼はうん、これでいい、と一人で納得していた
はぽかんと彼を見つめ、そしてゆっくり口を開く
「それってすごく失礼なんじゃ…」
「俺がいいって言ってんだからいいんだ。次先輩とか言って敬語使ったらデコピンだかんな」
そう言うと彼は止めていた足を動かし一人だけ歩き始める
はまだ納得がいかないようで、しばしの間彼の背中を見つめていた
何て強引な人なんだろう…
というか本当に、呼び捨てでいいのかなぁ…?
そう思いもしたが、さすがにデコピンは嫌だと思い
敬語を使わないように気をつけようと軽く意気込む
「おい、置いてくぞ」
「え、レンせ…レン、待ってッ」
危うくデコピンを食らいそうになるものの、ギリギリのところで訂正をしたは
意地の悪いことを言いながらも立ち止まって待ってくれている彼を追いかける
レンは笑った
面白い奴だな、と苦笑を浮かべる
何だか妹が出来たみたいだ
ああ、そういえば10年以上前
初めてこの少女に会ったときも、そんな感じだったかもしれない、と
「お前そんなにデコピンが嫌か」
「嫌に決まってるでしょう」
「シッペとどっちがいい?」
「レンって、意地悪だね」
「てめ…クソガキが…」
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