幸せな気分で眠りについても、
不安を抱えたまま眠りについても、
必ず朝日は昇る
Unfinished Heart
「おはよう、」
「…おはようリリー」
朝起きて親友と挨拶を交わし身支度をする
ホグワーツに来て、最も目覚めの悪い朝だったとは思う
昨日、なぜリーマスはマクゴナガル先生に呼び止められたのか…
どうして、顔色が悪いのか…
そんなことがぐるぐると頭の中を駆け巡る
自身が何だか、少し疲れているような感じだった
身支度を整える間、何かとぼーっとしている彼女に、リリーは声をかける
「?貴女大丈夫?」
「あ、うん…何だか、変な夢みちゃって」
あんまり眠れなかったの、と小さな嘘をついては苦笑する
リリーは心配そうな顔で「…そう」と言った
支度が終わり、自室を出て談話室へと降りていく
すでにジェームズとピーターが制服に身を包んでそこに居た
「やぁ2人とも、おはよう」
「おはようジェームズ、ピーター」
「おはよう」
4人が挨拶をしていると、男子寮の階段からリーマスとシリウスが降りてきた
はリーマスの顔を見る
その顔色は、やはりどこか悪い
「おはよう、」
「…おはよう、リーマス」
リーマスが力なく微笑んで、声をかけてくれる
は必死に、それに応えた
全員が挨拶を交わし、6人で朝食のため大広間に向かう
「今日から授業かァ…」
憂鬱そうに呟くピーターを横目にジェームズが笑顔で言う
「楽しみじゃないか!僕は早く飛行訓練の授業をやりたいね」
「飛行訓練だけ?」
なぜ?とリリーが尋ねると、ジェームズは胸を張る
そして目を輝かせてリリーの問いに答えた
「クイディッチの試合が始まる前に選手に選ばれたいからさ」
リリーやピーターは呆気にとられてしまう
シリウスは眠たそうに欠伸をし、リーマスは苦笑しながらパンを頬張る
はというと、昨日の出来事からずっとリーマスのことが気になっていてそれどころではない
朝食の間、何を話していても頭に入ってこなかった
その日の午前中、ずっとリーマスを観察していただったが
昨日の話を聞きだすことはどうしても出来ない
そこで、彼女はあることを決めた
「シリウス、」
「ん?」
午後の授業に行くべく廊下を歩いていたは、こっそりシリウスに声をかける
幸い他の4人は話に夢中らしく気づいていなかった
「聞いてほしいことがあるんだけど…」
「…」
彼女の真剣な不安そうな表情を読み取ったシリウスは、歩く速度を落とす
少しずつ前の4人と後ろの2人に微妙な距離が空いた
は少し戸惑いつつも、真っ直ぐと彼を見つめた
「昨日ね、寮に戻るときにリーマス…マクゴナガル先生に呼び出されたの」
「…あいつが?」
不審げにシリウスの眉間にしわが寄る
は小さく頷き、さらに話を続ける
「こういう事って言いたくないんだけど…、私…リーマスが私たちに何か隠してるように思えて仕方ないの」
「……」
「疑ってるわけじゃなくて、その…リーマスは、自分のことより他の人のことを優先するから…」
「そうだな…」
彼には、何か悩みがあるのではないか
が行き着いた考えはそれだった
優しい故に、どこか自分を押し殺してしまうようなところのある少年だから
何か悩みや心配事があるなら、出来れば打ち明けて欲しいと思ったのだ
「でも、リーマス本人には聞きづらくて、誰かに相談しようと思って…」
「俺に話したのか」
「うん…」
がシリウスに相談しようとしたのは、彼の鋭い洞察力が理由だった
昨日、誰よりも早くリーマスの異変に気づいたにはシリウスだったから
それに…リーマスと一番近しい存在はシリウスだ、の目にはそう映っていた
「どうしたらいいのかな…」
踏み込んでいい領域なのかわからない、
けれどもし友人が何か悩んでいたら放っておけない
困っているなら、支えてあげたい…
そう思うからこそ、はシリウスに全てを話した
「…よし」
シリウスの強い言葉に、は顔をあげる
「俺が、リーマスに話を持ちかけてみる」
「あ、でも…」
「わかってる、軽く話をするだけな」
真剣で、けれど優しい表情のシリウスに、はほっと安心する
きっと彼なら大丈夫だ、そう思いは少しだけ微笑んでお礼を告げた
「…ありがとう、シリウス」
「あぁ。…ほら、行くぞ」
「うん」
2人は小走りになって、前を行く4人を追いかけた
外は天気の良く、木々の緑が風に吹かれ揺れていた
綺麗な声をした小鳥が2羽ほど、気持ちよさそうに空を飛んでいる
片方の小鳥が大きな柳の木に近づくと、その木の枝が一瞬にして小鳥を叩く
紅葉しつつある葉と、綺麗な羽がはらりと舞った
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