大きな城の中
新1年生がひとりの女の先生に誘導されて連れてこられた場所は大きな扉の前

「これから組み分けの儀式を行います。
寮は4つ、グリフィンドール寮、レイブンクロー寮、ハッフルパフ寮、そしてスリザリン寮。
よい行いをすればそれは寮の点数に加算され、悪い行いをすれば減点されます。
では行きましょうか。皆さんが首を伸ばしてお待ちですよ」

そして扉が開かれた




Unfinished Heart





ワァァァッと広間全体に広がる歓声
長いテーブルが4つ並び、そこに座る上級生たちは拍手をしたり指で笛を鳴らしたり、
前方の教師陣の席でも拍手が沸き起こる

盛大な歓迎に圧倒されたはその雰囲気に圧されそうになる
そして隣に立っているジェームズにそっと囁く

「なんかすごいね、ちょっと緊張してきちゃった」

胸に手を当てると鼓動が早いのがわかる
しかしジェームズは全く緊張したようすもなくにこにこ笑っている

「緊張することないよ、寧ろ自分の晴れ舞台なんだから堂々としてた方がいい」

「そ、そうだね…」

彼の言葉に同意しながらも、心の中ではそんなの無理だよ、と囁く
ちらりと横目で少年の顔を見ると、期待に満ちた顔で輝いていた

(…ジェームズは、大物になりそうだね…)



先生の後に続いて全体の前のほうに案内される
そして椅子の上に古びた帽子が置かれていることには気が付いた

「今から組み分けの儀式を行います。名前を呼ばれた生徒は椅子に座り帽子をかぶりなさい」

羊皮紙を広げ、一番最初の生徒の名前が名前を呼ばれた
ちょっと大人しそうな少女が真っ青な顔をしてふらふらと揺れるように歩き椅子に腰をかける
先生が帽子をとって少女の頭の上にそっと被せると、途端に大きな声が広間に響いた

『ハッフルパフ!!』

すると1つのテーブルが一斉に立ち上がったり拍手をしたりで盛り上がった
その少女は弱弱しく微笑み、寮の先輩たちに歓迎をされながら席に着いた

その後も次々と名前が呼ばれていき、レイブンクロー、グリフィンドール、スリザリンとどんどん組み分けが進んでいく
気の強そうな少女がスリザリンと叫ばれたとき、ジェームズはそっとに耳打ちした

「スリザリンは昔から悪い魔法使いの寮になってるんだ」

「そうなの?」

「ああ、見てご覧。あっちのテーブルだけ悪人面をした人がいっぱいだろう?」

にやっと笑いなが呟いたジェームズに何か言おうとしたその時



の名前が呼ばれた
驚いたは困ったようにジェームズを見た
彼はポンッと彼女の背中を押し、大丈夫だよと小さく囁く
不安そうな顔で小さく頷き、は恐る恐る前へと歩み出て、椅子へと腰掛た

帽子をかぶると、誰かの唸り声が頭の中に聞こえた

『さて、どうしたものか…』

「こんにちは…」

『こんにちは可愛いお嬢さん』

帽子の明るい声には優しそうだな、と少しだけ不安を溶かす
しかし緊張は止まない
どきどきと心臓が騒ぐのを感じながらも帽子の声を必死に聞こうと専念する

『んーむ、頭もいい…そして真面目で、暖かな優しい心を持っておる…そうか…よし!決まりましたぞ、お嬢さん』

「え…?」

『グリフィンドール!』

帽子が叫ぶと中央のテーブルが一斉に拍手を始めた
その様子をみて自分も歓迎されてるのかな、と思うとはたちまち嬉しくなった
脱ぐ直前に心の中でありがとうございます、と囁いてみたがすぐに先生が帽子を彼女の頭から離してしまい
返事は無かった。

寮のテーブルに向かう途中ジェームズが思い切り拍手をしてくれていることに気づき、は微笑んだ
そして彼も同じ寮だったらいいのになぁと考える
するとジェームズの名前が呼ばれ彼は堂々と前に出た

は先輩に座るようすすめられ、前で帽子を被ろうとしているジェームズを気にしながら腰を下ろす
するとすぐに帽子がグリフィンドール!と叫び、また歓声が沸き起こる
彼女も嬉しくなって、立ち上がって拍手をした

、一緒だね!これから宜しく」

テーブルのホウヘやってきたジェームズが嬉しそうに言って右手を差し出してきた
も彼の手を握りながら、こちらこそ宜しくね!と大きな声で告げた

その後もしばらくの間組み分けが続き、最後の新1年生はレイブンクローだった

“自分の好きなメロディー”というなんとも変わった調子で校歌を歌い、そして校長先生の話

長い白髪にそれと同じくらい長い白い髭、半月形の眼鏡から覗く穏やかな瞳
アルバス・ダンブルドア校長が魔法で声を拡張して言った

「新入生たちよ、よい学校生活を。学を学び、友を得て、己の道を切り開くがよい。
さて、あまり待たせては冷めてしまうのう。頂くとしよう」

ダンブルドア校長が手をパンッと叩くと、4つのテーブルから山のような料理が浮き出てきた
は驚いて感嘆の声を漏らす

「己が満ち足りるまで食べるがよい」

優しい響きを帯びた校長先生の声が引き金となり一同一斉に手を伸ばし料理を堪能し始める

汽車の中でお菓子を沢山食べた彼女もすぐにパンやフライドチキン、大きなケーキを皿に盛った
パンプキンパイも盛ろうとしたとき、斜め前の鳶色の髪の少年と目が合った
一瞬きょとんとしたが、すぐに柔らかい笑みをおくられ、も少しはにかむ

(今度会ったら、友達になれるかな…)

そんなことを胸に想い浮かべながら、食事を勧めていく
隣では一生懸命になって口に食べ物を放り込んでいたジェームズが何かを喉につまらせたのか
慌ててカボチャジュースを一気飲みしていて、は声をあげて笑った


これが、ホグワーツでの新しい生活の始まり




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